『フューチャリスト宣言』
読んでいて楽しく、勇気をもらうことのできる本だと思います。Webに未来を感じている人の多くは、同じような感想を抱くのではないでしょうか。
一方で、楽観的すぎるという意見も、当然のように寄せられるでしょう。
特に茂木氏に対しては、そういう意見が多そうな気がします。梅田氏の場合は、もともとはけっこうストイックなところがあるけれど意識的に楽観的な立場に身を置いているという印象が強いのに対して、茂木氏の場合は、もともとすごく楽観的な性格なんだろうなという印象があります。まぁ、単なるイメージなんですけどね。
著者に対する個人的な印象はともかく、こうした楽観的な見方をすることのできる社会というのは、望ましいのだと思います。
Apple が Mac の発売を予告するCMでジョージ・オーウェルの『1984年』を題材としたり、日本でPCが
"マイコン" と呼ばれていた20年前とは、コンピュータに対する人々の意識も大きく変化しています。
日本では既に多くの家庭がPCを保有していて、テレビや冷蔵庫と同じような家電となりつつありますよね。その使用目的のほとんどは、Webに接続するための端末としてでしょう。
後は1年に1回、年賀状の作成に使うくらいじゃないでしょうか。一般家庭は。
僕がWeb2.0に関して論じた書籍などを読む際の目的というか動機は、大きく2つにまとめることができるのかなと思っています。1つは、新しい技術や自分にはない発想にふれて、刺激を受けたいという気持ち。もう1つは、自分と同じような考えや感じ方をする人がいることを確認して、安心したいという気持ち。
このバランスは微妙なところですが、本書に関しては後者に属する部分が大きいと言えるでしょう。
2人の著者の年齢が比較的自分に近いということも、本書を読んで勇気づけられた点であると言えるかもしれません。
年齢と共に保守的な傾向が強くなるのが世の常ですが、そこをぐっと堪えて新しい技術や発想を取り込み続けると、新しい世界と旧い世界の架け橋的な存在にもなり得るのではないか。ちょっと大袈裟ですが、そんな感じです。
1点だけ大きく違和感を感じたところを挙げるとしたら、"(インターネットの世界は自由だけど)現実世界は不自由だからお金を使う" という茂木氏の発言でしょうか。確かにそういう一面があることは否定しませんが、少なくとも先進国と呼ばれるような国々における消費の本質とはかけ離れているように思われます。
関連情報
・筑摩書房
フューチャリスト宣言 梅田望夫/茂木健一郎著
・茂木健一郎
クオリア日記: フューチャリスト宣言 特設ページ
・梅田望夫
- Wikipedia
・梅田望夫とは
- はてなダイアリー
・MochioUmeda.com
・My
Life Between Silicon Valley and Japan
・茂木健一郎
- Wikipedia
・茂木健一郎
クオリア日記
・茂木健一郎の「超一流の仕事脳」
(茂木健一郎の「超一流の仕事脳」)
・有名人ブログ:ココセレブ:Specialインタビュー:
読者への贈り物を届ける場所 それが僕にとってのブログ
・404
Blog Not Found:書評 - フューチャリスト宣言
・ガ島通信
- 「フューチャリスト宣言」梅田望夫・茂木健一郎
・小野和俊のブログ:「フューチャリスト宣言」梅田望夫・茂木健一郎
p.s.
茂木氏については、これまでテレビのバラエティ番組で何度か見かけたことがあるという程度で、しかも、その時の僕の印象は脳科学の世界における丹波哲朗みたいな人なんだろうなというものでした。(笑)
本書を読んでもその印象が大きく変わったわけではありませんが、ブログに書くに当たってネットで検索してみると、ヒット数の多さに驚かされました。僕が思っていた以上に有名な方なんですね。
僕自身の持っている情報に偏りがあることを、改めて実感しました。